イナビルとは抗インフルエンザウィルス剤であり、インフルエンザウィルスの増殖を抑えその症状を緩和する、吸入タイプの薬です。
粉末の為、吸入することによりウィルスが増殖する喉や気管支の粘膜に直接薬剤が届き、その効力を発揮します。
イナビルは「ラニナミビルオクタン酸エステル水和物」という有効成分を含んでいますが、ラニナミビルとはインフルエンザ治療薬の名前です。
イナビルというのは商品名で、2010年10月から販売開始されました。

イナビルの注目すべき特徴は、定められた量を一回服用するだけで治療が完了する点です。
これは、ラニナミビルの効果が長時間持続することが可能だからです。
単回投与のメリットとして、飲み忘れなどの服用にまつわる煩わしさがありません。
服用のタイミングは、発症から48時間以内であることが望ましく、可能な限り早めの服用が効果的です。
48時間を過ぎてしまうと、効果を期待できなくなることもあります。

イナビルは、インフルエンザ発症予防に使用することもできます。
利用できる人は限られており、インフルエンザ発症者と生活を共にしている人のうち高齢者(65歳以上)、慢性呼吸疾患や慢性心疾患、代謝性疾患(糖尿病など)、腎臓に障害がある人などが対象になります。
イナビルは処方薬ですので、病院で医師の判断によって処方されることになります。
また、予防目的の場合は保険適用外となり、全額負担になる点も認識しておかなくてはなりません。

使用上注意すべき点としては、副作用の可能性が挙げられます。
予想される副作用は、めまい、意識や判断力の低下、動悸息切れ、ほてり、蕁麻疹など多岐にわたります。
アレルギーの可能性も指摘されており、薬剤の中に添加物として乳蛋白を含む乳糖水和物が含まれていることから、過去に乳製品に過敏な反応をしたことがある人はアナフィラキシー反応に注意が必要です。
薬による異常行動についても、因果関係は不明であるものの事故が起きた例もあることから、特に小児・未成年患者の保護者はインフルエンザと診断されてから2日間は目を離さない等の管理監督が必要です。
いずれの場合も体に異常を感じたら、速やかに医師の判断を仰ぐことが肝要となります。

イナビルは処方箋医薬品であり、病院で医師に処方してもらって初めて使用できる薬です。
その特性上、通販で購入することはできません。
利用目的、環境、持っている疾患などにより、処方に細やかな対応が必要になります。
病院で医師の判断のもと、正しく使用することが大切です。

イナビルの正しい吸入方法

ラニナミビルオクタン酸エステルを有効成分とするイナビルは、1回の服用で治療が完結するという手軽さの反面、その1回を正しく服用しなければあるべき効果が得られません。
イナビルは吸入薬ですから、確実に吸い込み、喉や気管支に薬をいきわたらせることが重要です。
誤った使用例として鼻から吸入したり、通常の薬と同様に口から飲んで服用した事例が報告されていますが、その場合は薬の持つ効果は保証されませんので、必ず口から吸い込んで服用します。

吸入の手順ですが、最初に容器をトントンと叩いて薬剤を容器の底に集めておきます。
これは薬剤の入っているトレーをスライドしていない状態で行わなければなりません。
次に、薬剤が充填されている左右2か所のトレーを中央にスライドさせます。
この時に、小さな子供は上手くスライドできない可能性がありますので、保護者の付き添いがあることが望ましいです。

そしていよいよ吸入ですが、容器は水平に持ち、容器の底にある小さな穴(空気孔)を塞いでないか確認をします。
軽く息を吐いた後、吸入口を口の奥までしっかり入れて、体を起こした状態で深く息を吸い込みます。
吸入後は2~3秒間息を止めておく方が良いです。
その後はゆっくりと呼吸を戻し、薬の吸い残しがなようにスライドと吸入をもう一度繰り返して終了です。

吸入に不安がある場合は、イナビルの実際の容器を使って練習をすることもできます。
薬剤トレーをスライドさせてない未使用の状態であれば薬剤は出てこないので、容器をくわえて吸入してみても問題ありません。

イナビルは通販などで購入できない、処方箋医薬品です。
病院にかかった時に、医師もしくは薬剤師の指導どおりに正しく使用することが大切です。
また、万一めまい、蕁麻疹などの副作用の症状が現れた場合も、速やかに医師の判断を仰ぐことが賢明です。